やましろのくに 山背<やましろ>の国のよいこと・よいもの・よいところ…
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No.52 荒見神社の正月風景(城陽市)




 富野荘。厳寒期でさえ空の色はどことなく明るく、人の心をほっとさせるものがあります。訪ねた荒見神社では境内の「枝垂れ寒桜」が愛らしい姿で迎えてくれました。周囲がほりで囲まれた珍しい社。シイやアラカシなど鎮守の森が遠くからの目印にもなっています。
 寺の門、西向きの木殿、またその後ろには、刀剣を作る人がお参りにくる水が湧いていて、社全体が楽しい雰囲気をかもしだしています。元日、絶え間なく訪れる人も、この境内ですっかり寛いで帰っていく様子です。社に通じる道には旧い並木ものこり、隣接する広々とした畑にはショウブが育てられているとのこと。小さな森とはいえ珍しい野鳥の姿には人々の話題も集まります。土、緑、清らかな水、小さな生き物…と社を中心にした優しい宇宙が人の心に安らぎを与えているようです。開発の波を間近にみながら、この緑のグランドがさらに広がってほしいものだ、と 思いました。

(切り絵と文 川越 義夫)
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