山背<やましろ>の国のよいこと・よいもの・よいところ… 切り絵とエッセイで紹介します |
No.58 三室戸のあじさい(宇治市) |
あじさいの季節。京阪三室戸駅に電車が着くと休日ではないのに車内がほぼ空になるほどの人が降りてしまいました。 いっせいに山の方に向かって歩く人々−−時代を超えて、年代を超えて人が花との対話のひとときを、強く求めていることに心を動かされます。 紫、青を中心に赤紫まで七千株余りの花が思いおもいに広がる様は、山肌に大きな虹が幾重にもかかったかと思わせます。折から蓮もまたその季節を迎え、拝殿の前の二百株ほとが優雅な姿で風にそよいでいます。 あじさいの花の前に長時間たたずむ人、そっと手を、ふれる人、花と対話する人の姿はさまざまです。しかし人が花にどれほど大きなものを求めようと、花は余りあるものを人に与え、なおどのような姿をも受け入れてくれるように見えます。 (切り絵と文 川越義夫)
作者プロフィール |