やましろのくに 山背<やましろ>の国のよいこと・よいもの・よいところ…
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No.64 東一口(いもあらい)の大根洗い(久世郡久御山町)



 東一口。宇治川沿いに久御山の広々とした農地が広がっています。爽やかな土の匂いと優しい水の音を風が運んでくれます。
 土地の名を冠した京野菜は、最近特に人気を集めていますが、このあたりで有名な聖護院大根が作られています。1個3kgもある見事な大根が川沿いに設けられた洗い場できれいに洗われて、午後からの出荷を待っています。厳寒期、さぞ冷たいのでは?と思いましたが、このあたりはその昔の巨椋の池の干拓地。溢れるように豊かな地下水が使われていました。
 ここの大根は早く、やわらかく煮えて、かたくずれがせずとてもおいしい。「味が格段に違う秘密は?」とお聞きすると「土地と技術です」生産者の鵜ノロさんから即座に答が返ってきました。
  「豊かな土地と人の知恵が『美味』を生む。土―そこには大きな生命(いのち)の輝きがある」
 大根は私にそんなメッセージを送ってくれました。

(切り絵と文 川越 義夫)
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