やましろのくに 山背<やましろ>の国のよいこと・よいもの・よいところ…
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No.95 井手町・万灯呂山頂から望む風景と龍王の滝(井手町)


 テレビでの一日中曇りとの天気予報。絶好の取材日和と雨具の用意も充分せず出かけました。山城多賀駅にはタクシーも無く玉水駅で下車し、駅前よりタクシーで山城多賀のフルーツラインから山道に。フルーツラインと言えば昨年秋、娘夫婦、孫達と柿やミカン狩りに来ましたが、今は9月。人の気配も無く険しい山道を車はどんどん登って行きます。途中龍王の滝まで550mとの看板が目に留まり、さっそく滝の取材へ。蜘蛛の巣を手で払いながら南谷川上流に向かって進むと一筋の白い滝。水量は少ないが落差は約13m。岩の間を流れ落ちる一本の白い水の帯、真下の深い青の淵。龍神が祭られており、遠い昔、日照りが続くと、雨乞いの神事が行われ、その灯明の火を松明に移し、山頂まで松明行列をしたと伝えられ万灯呂山と呼ばれています。現在でも8月16日には地元の人が電球で大文字の送り火を点し続けているそうです。
 突然、目の前がひらけて山頂に到着。眼下には井手町の民家が点在し、中央に流れ行く木津川、朱色の山城大橋。遠くに京田辺市の街並みがパノラマの様に広がります。突然西の空より雷が鳴り出しポツリポツリと雨が…… 。
 早々に取材を切り上げ歩いていると、大きな雷と共に激しい雨。山道を濡れながら民家近くまで歩くこと約20分。辿り着くと、狐の嫁入りの様な小雨と日差し。変な天候でしたが無事取材を終えました。
 この切り絵は左に龍王の滝。右に悠然と流れる木津川、遠くに京田辺市街を望む風景を配した構図を考え表現しました。

(切り絵と文 渡辺 勝)
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