京都南法律事務所

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年金について

弁護士 井関佳法
 2,000万円問題の衝撃が広がっています。夫婦の年金月額が21万円、生活必要額が26万円、不足額が5万円、30年で2,000万円近くになるという計算です。しかし、夫婦で21万円もらえない世帯が少なくありません。2,000万円は現在の年金水準を前提としていますが、年金額はマクロ経済スライドで毎年減額されてゆきます。これを織り込めば不足額は3,000万円近くになります。2004年に、生活に必要な額から年金額を決めることを放棄しています。
 ところで、ニュージーランドでは、10年以上居住しているだけで、年金保険料の支払なしで、夫婦で手取り20万円の年金がもらえます。  アメリカでは、年金保険料の支払は必要ですが、低所得者を優遇しており、現役時代の給与が10万円なら年金は月額9万円です。セイフティーネットも使いやすく、生活保護(補助的保障所得)は、親族の扶養義務が問われません。それ以外に、メディケイド(無料医療制度)は日本人口に引き直すと2,700万人、フードスタンプ(無料食費援助制度、夫婦月額3万5,000円程度)は1,700万人が利用しています。高齢者の貧困率は日本18%に対して、アメリカ10%に下がっています(「日本より幸せなアメリカの下流老人」矢部武著、朝日新書)。
 安心して生活できることが基本です、国によって事情は違いますが、ニュージーランドもアメリカもそのための工夫をしようとしています。あきらめずに、安心できる年金をの声を上げたいと思います。
(2019年11月)

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