弥陀次郎川水害、提訴!
弁護士 井関佳法
2012年8月14日、宇治市木幡の弥陀次郎川の天井川部分が決壊し、付近の8戸が全壊、床上・床下浸水多数の被害がありました。決壊箇所付近は、堤の上に河道が載り、河床はコンクリート、護岸は石積みの上に嵩上げコンクリートが載せられた構造でしたが、普段の水深は数センチ程度の小さい河川であり、草木に覆われた土手は、のどかな風景を提供してくれていました。
その弥陀次郎川が、豹変して牙を剥きました。原因は、京都府の管理不十分でした。石積み部分は、脱落した石がそのままになっており、石と石の隙間は広がって棒が奥まで入る状態でした。コンクリート部分にも割れや隙間ができていて、いずれも補修がされていませんでした。河道内に草木が生い茂り、直径数センチに及ぶものさえありました。このスカスカの河道と護岸は、流れてくる水を遮断せず、堤体内に漏れ出て、砂質の堤体に水の通り道ができるパイピング現象を生じさせ、破堤に至りました。 京都府は、責任を認めておらず、被災者の皆さんは、原因究明と被害補償を求めて、提訴に踏み切ることにされたのです。
大東水害訴訟で、河川の安全性は、財政的、技術的、社会的諸制約を考慮して考えてよいとする最高裁判例があり、容易ならざる裁判となるでしょう。しかし、決壊箇所で計画水量を上回っておらず、想定内の水量で破堤しており、基本的な日常管理を怠ったことが原因であると訴えて参ります。
水害が頻発し、府民の不安が高まっています。安全安心のために行政はなすべきことを行えと、世論を広げてゆくつもりです。ご支援をお願いいたします。
(2014年9月)