福島原発事故から10年
弁護士 井関佳法
賠償訴訟では、原発事故を起こした東電と国の責任の有無が争われており、責任を認める判決と認めない判決が、地裁8対7、高裁2対1と相半ばしており、つばぜり合いが続いています。政府設置の地震対策本部の長期評価によれば津波を予測できたのですから、責任否定は許されません。ここは踏ん張りどころ、避難の相当性と賠償金額の課題とあわせて、東電と国の責任を明らかにしたいと思います。 原発の稼働の是非を問う訴訟は、福島原発事故前は2つを除き全敗でしたが、事故後は差止を命じる判決が7つ出ました。昨年12月4日の大阪地裁判決では、考慮すべきばらつきを考慮しないで基準地震動が決められていること、今年3月18日の水戸地裁判決では、避難計画が立てられていないことをそれぞれ問題として差止を認めました。差し止めを認める判決の切り口は様々ですが、それだけ日本の原発には問題が多いのです。
原発固執に未来はありません。脱原発で再生可能エネルギーに舵を切ってこそ活路を開くことができます。
(2021年11月)