京都南法律事務所

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関わった事件

大飯原発差止訴訟 証人尋問終了 〜25年9月結審・年度末判決予定

弁護士 井関佳法
 3457名の原告でたたかっている京都地裁の大飯原発差止訴訟は、この1年間で証人調べを終えました。9月結審、来年3月までに判決言い渡しの流れとなります。
◇基準地震動を超える危険
 大飯原発からわずか数km先に長さ63kmの大活断層があり(FO-A FO-B 熊川断層)マグニチュード7.8の大地震が予想されています(阪神淡路大震災M7.3)。関電は、大飯原発敷地は固くて変な揺れを起こさない成層堅固な地盤だから地震が起きても大丈夫だと言っています。しかし、原発直下には何本も破砕帯(岩盤が割れ砕かれたところ)とその周りには無数のシーム(割れ目)ができていて、成層とも堅固とも言えず、地震が起きれば大きく揺れる恐れがあり、過酷事故の危険が否定できません。
2014年原告団・弁護団現地調査時に海上から 2014年原告団・弁護団現地調査時に海上から
(写真提供:吉田明生氏)
◇原発事故被害の甚大さ
 大飯で原発事故が起きた場合の被害規模を、福島事故から想像すると間違います。福島原発事故で官邸は当初250万人避難を覚悟しましたが、実際の避難者は16万5000名に止まりました。これは幸運な偶然が重なって事故の規模が当初想定より小さくとどまったからでした。大飯原発事故の被害は、北陸、関西はもちろん中部や関東まで広がる可能性があります。
◇実効性のない避難計画
 ところが、今作られている避難計画は、30km圏内では一旦自宅で待機しその後、地域ごとに集まってバスで避難するなどとするだけです。しかし、昨年元旦の能登地震では道路が寸断して避難できない地区があちこちに生じました。待機場所とされる自宅も倒壊する建物が少なからずありましたし、必要な数のバスが用意できるのか、線量が高い場所に運転手を行かせてよいのかの問題もあります。しかも避難計画は地元自治体に丸投げされ、国も関電も責任を持たなくてよいとされています。被ばくなしに避難できる保証はどこにもないのです。
◇福島事故を忘れた国
 政府は、これまで「可能なかぎり依存度を低減する」としていた原発を「最大限活用」すると改め、原子力回帰に大きく舵を切りました(第7次エネルギー計画)。さらに政府は、中間貯蔵施設に保管されている福島原発事故除染土を再生利用することまで決めました。これまで100Bq/kg(Bqは1秒間に1個原子が崩壊して放射線を出すという意味)以上の廃棄物は放射性廃棄物として厳格処分が必要でしたが、除染土再生利用方針では、8000Bq/kg以下の除染土を公共工事等で再生利用するとしています。国は福島原発事故を忘れ、なかったことにしようとしていますが、許すわけにはいきません。
◇差し止めを求める署名にご協力を
 原発稼働に伴う危険性を考えれば大飯原発は止めなければなりません。原発稼働差止を願う声を裁判所に届けるため、署名にご協力願います!
(2025年5月)

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