憲法を知ろう
京都府南部地域に地方裁判所支部の新設を(32条)
地裁支部の偏在
京都府下の裁判所の配置状況は、下図の「京都府下・裁判所配置図」の通りです。地方裁判所及びその支部のある所には、同時に、家庭裁判所もあります(簡易裁判所も併設)。南部地域には、簡易裁判所はありますが、そこでは、訴額が140万円以上の裁判(例えば、200万円の貸金請求・交通事故の損害賠償請求など)や、離婚、遺産分割などの家庭問題の調停・審判の申立ては出来ません。
そのような場合、京都南部地域に住んでいる人は、すべて、御所の南側の京都地方裁判所、下鴨神社南側の京都家庭裁判所まで行かなければなりません(近くの裁判所ということで、奈良の裁判所に申立てることもできません)。
地裁支部の所在地について
現在の様な形での地方裁判所及びその支部が設立されたのは、1947年のことです。全国的に見て、おおむね、戦前の「区裁判所」のあった所が、「支部」になっています。京都府下で言えば、区裁判所の所在地は、「園部・宮津・峯山・舞鶴・福知山」でした(1941年当時)ので、「峯山」を除いて、そのまま「支部」となっています。因みに、「区裁判所」の制度が出来た当時(1894年)は、伏見と木津にも区裁判所があったようです。
近くで裁判を受ける権利の実現を
「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」(憲法32条)とされていますが、裁判を受けるために、遠くまで行かなければいけないとすれば、それは、その権利を「奪われている」ことに繋がります。京都府下の人口は約252万人であり(2024年10月1日現在)、内、京都府南部の宇治・木津簡易裁判所が管轄する区域の人口は約54万人、北部の4支部が管轄する区域の人口は合計で約39万人です。
南部地域の人が裁判を受ける権利をより保証されるために、南部地域に裁判所支部を新設することが必要だと思います。
京都府下・裁判所配置図
(弁護士 中尾 誠・2024年11月記)