京都南法律事務所

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憲法を知ろう

台湾有事と日本(9条)

台湾有事と高市発言
 2025年10月7日の衆議院予算委員会における高市首相の「中国の台湾に対する攻撃が武力行使を伴うものであれば、存立危機事態になり得るケースである」との発言は、中国を含めて、大きな波紋を起こしています。
 この法律(武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律・武力攻撃事態法)を発動するためには、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」することがその要件となっています。
 これまで、「我が国と密接な関係にある他国」については、「アメリカ」が想定されていたと思いますが、高市発言によれば、「台湾」だということになるかもしれません。台湾ではなく、アメリカが「他国」だとしても、そのような事態になれば、アメリカは、台湾関係法(※)に基づき、その紛争に介入することが想定されますので、同じことになります。
 発動するためには、「これにより我が国の存立が脅かされ…」という要件もありますが、これについても、政府が「そのような事態だ」と認めてしまえば、クリアーされることになります。
 自衛隊が、海外に「防衛出動」をするということが、現実的な問題となってくるわけです。
 その意味で、今回の高市発言は、政治的な配慮の問題はともかくとして、この法律によって、自衛隊が海外で本格的に活動することを明らかにしたものと言うことができます。
邦人の救出
 いま、日本人にとって台湾は人気のある観光地です。2025年度の台湾に観光で訪れる人の数は、148万人(2025年度)にのぼります。また、台湾には、日系現地法人は1595、在留邦人21,696人(2024年10月現在)です。
 存続危機事態に至らない場合でも、邦人の救出が大きな課題となります。場合によれば、自衛隊を出動させることもあります(自衛隊法84条の4)。
 邦人救出をするために台湾に入るためには、領域国の同意を必要としますが、その同意は誰からとるのか、中国か台湾かどちらからとるのかという問題があります。
 日中共同声明(1972年)に中国側の立場「台湾は中国の領土の不可分の一部である」を尊重すれば中国になりますし、「実効支配している」国とすれば台湾になります。
 邦人救出の入り口で、困難な外交問題に直面することになります。
(弁護士 中尾 誠・2026年4月記)
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