吉田眞佐子 Essay
ジェンダー平等 ~誰一人取り残さない持続可能な社会の実現を~
2025年4月
ジェンダー(gender)とは、生物学的な性別(sex)ではなく、社会的・文化的な役割や期待に基づいて形成された性別のことです。
ジェンダー平等は、女性への差別や不平等をなくして人権を保障するとともに、男性の生活・人生の質の向上にも資するものです。
伝統的男性の文化的規範は、①感情の抑圧・苦悩の隠蔽、②表面的なたくましさの維持、③力の指標としての暴力につながりやすいのです。また、長時間労働や競争社会、家庭・地域からの切り離しは、男性の不健康や生活の質の低下をもたらします。
2024年ジェンダーギャップ指数は、日本は146か国中118位、G7(主要7か国)では最下位であり、お隣の韓国(94位)、中国(106位)よりも下位です。日本は、特に政治・経済の分野で何かを決める場に女性と男性とが同じように参加したり、リーダーになることができていません。世界では、議員選挙で法的にあるいは政党が自主的にクオータ制(性別を基準に一定の人数や比率を割り当てる方法)を実施している国もあります。多様性に富んだ職場や組織を実現すると、新しいアイデアや視点が生まれ、組織の成長につながります。
ジェンダー平等の実現のため、選択的夫婦別姓制度の導入、性と生殖に関する健康・権利を学ぶ包括的性教育、LGBTQ+差別禁止、性別役割分担を温存・強化する制度についての見直しなどが求められていると思います。