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突然に父が倒れ意識不明、父が行っていた明け渡し請求や銀行との交渉は?
賃貸マンションを経営している私の父は、家賃を滞納している入居者に明け渡しを求めたり、マンション建築資金を借り入れた銀行と返済条件変更の交渉をしていましたが、このたび、脳梗塞で倒れ意識がなくなってしまいました。父が行っていた明け渡し請求や銀行との交渉はどうなるのでしょうか。
意識不明の状態では、明け渡し請求や銀行との交渉はできません。お父さんが予め事理を弁識する能力がなくなった場合に備えて財産管理や介護をする後見人を選任する契約(任意後見契約)をしていた場合には、その後見人が明け渡し請求や銀行との交渉を行うことになります。任意後見契約は公正証書で行っておかなければなりません。
任意後見契約をしていない場合、配偶者や四親等内の親族などの者は、家庭裁判所に後見開始を求める審判の申立をすることができます。家庭裁判所は、申し立てられた者が事理弁識能力がないと認めたとき、後見開始の審判をし、その者(被後見人)のために後見人を選任します。後見人は、被後見人の財産管理について代理権がありますので、被後見人に代わって法律行為を行うことができます。
後見開始の審判を申し立てる際には、申立書に関係者の戸籍謄本や後見開始審判がなされていないことの登記事項証明書、財産目録、所定の様式の診断書などを添付しなければなりません。後見人の候補者を推薦することもできます。家庭裁判所は、親族や主治医から意見聴取などを行った上、通常は事理弁識能力の有無について鑑定を行って、後見開始の審判をし、後見人を選任します。事理弁識能力の程度に応じて、後見、保佐、補助の開始審判がなされます。
後見人に選任された者は、被後見人の財産を調査して財産目録を作成して家庭裁判所に提出し、家庭裁判所の監督のもとに財産管理や介護などの事務を行います。家庭裁判所は不正な行為があったときには後見人の解任を行います。
後見契約がなされていないのであれば、後見開始審判を求める申立をして、選任された後見人に明渡請求や銀行との交渉を行ってもらうとよいでしょう。申立の際に、あなた自身を後見人の候補者に推薦することも考えてはいかがですか。
ただし、家庭裁判所は、申立人の推薦した候補者を後見人に選任しない場合もあります。