京都南法律事務所

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労働問題 Q A

給与の一方的減額と退職金の算定

Q

私が勤務していた会社は、長期の不況に対応するため課長以上の役職の給与を一律1割減額するとの通告を行いました。
課長職にあった私は、社長に一方的な減額を行わないよう申し入れましたが、給与の減額をされたので退職しました。すると、会社は不況を理由に減額した給与を基準に退職金を算定した上、その5割しか支払ってくれません。どうしたらよいでしょうか。

A

給与は、労働契約の重要な内容であり、原則として一方的に減額することはできません(労働契約法9条)。したがって、退職までの間に減額された給与の合計額を請求することができます。
また、一方的な給与の減額ができない以上、退職金についても減額前の給与を基準として退職金規定による退職金の算定を行わなければなりません。
この点で、会社が破産の危機に瀕している場合でも、事情変更を理由に退職金規定が当然に失効することはないとの裁判例もあり、会社は、退職金規定にもとづく退職金の全額を支払わなければならないと考えられます。

Q

会社に請求したり、労働基準監督署に相談したのですが、一向に差額を払ってもらえなくて困っています。

A

監督署は、労働基準法違反の事例について、報告を求めたり指導することができますが、あなたに代わって給与の差額などを取り立ててはくれません。
会社が、監督署の指導にもかかわらず、給与の差額や退職金を支払わない場合は、自ら会社に対する請求をするほかありません。
2020年3月31日以前に生じた給与請求権は支払日から2年、退職金請求権は支払日から5年で消滅時効が完成し(労働基準法第115条)、改正労働基準法、改正民法の施行により、2020年4月1日以降の生じた賃金請求権は当分の間3年、退職金請求権は5年で消滅時効が完成します。時効が完成する前に請求を行うよう注意してください。

弁護士 杉山潔志
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