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2020年4月から新しい給付型奨学金、授業料減免制度が始まります
〜 高等教育と教育を受ける権利〜

2020年1月24日
◆教育を受ける権利と大学等の学費

 日本国憲法26条は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受 ける権利を有する。」と規定しています。
 これを受け、教育基本法4条3項は、「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって、修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。」と定めています。
 しかし、大学等の学費は、「受益者負担」の名の下に、この50年間、物価上昇率をはるかに超えて上昇しました。2019年度大学授業料は、国立は年53万5800円、私立は年75万円以上であり、初年度納付金は国立約82万円、私立約130万円以上です。奨学金は有利子貸与型が中心であり、奨学金破産も稀ではありません。

◆給付型奨学金の拡充及び授業料の免除・減額

 2017年度より日本学生支援機構による給付型奨学金制度が始まりましたが、住民税非課税世帯の成績優秀者など約2万人が対象であり、給付額も月額2万円から4万円でした。
 2020年4月からの新しい制度では、対象者及び支給額が大幅に拡充されます。
 具体的には、住民税非課税世帯、私立大学自宅外通学の場合、月額7万5800円(年90万9600円)が支給されます。国公立大学自宅通学の場合は月額2万9200円です。また、これに準ずる世帯に対しても、上限額の3分の2、あるいは3分の1の金額が支給されます(4人家族で年収461万円未満など)
 さらに、新しい給付型奨学金の対象者は、大学等に申請することにより、最大で年間約70万円の授業料の免除・減額を受けることができます。入学金の減免もあります。
 この制度では、学ぶ意欲がある学生という要件があり、学業成績、学習計画書等の提出が必要です。短大、専門学校も対象であり、現在の大学等在学生も対象となります。新しい給付型奨学金制度について、その対象者、対象学校などの要件について、早めの確認・検討をお勧めします。

弁護士 吉田眞佐子

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