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暴力団排除条項と誓約書

2021年3月6日
*京都府暴力団排除条例

 この条例の目的は,暴力団の存在及び暴力団員による不当な行為により,府の行政,府内の事業活動,府民生活に生じる不当な影響を排除することです。
 第17条は,事業者に対し,①暴力団員等を契約の相手方としないこと ②契約の相手方が暴力団員等と判明した場合は,催告なしに契約を解除できるようにすること ③取引の相手方や取引の媒介者などに暴力団員等でないことを確認し,それを書面で誓約させるなどの措置をとることを努力義務としています。暴排条例は全国で制定され,最近の不動産売買契約書や不動産賃貸借契約書には,暴力団排除条項が入っているのが通例です。

*暴力団員とゴルフ,預金口座の開設行為

 暴力団員の身分を隠してゴルフをした行為が詐欺罪に当たるかについて、平成26年3月28日に2つの最高裁判決等が出ました。宮崎県のゴルフ場事件は1審,2審は有罪でしたが,最高裁は無罪,長野県のゴルフ場事件は1審無罪,2審有罪,最高裁は上告棄却で有罪でした。最高裁は,宮崎県のゴルフ場は「利用約款や立看板で暴力団関係者の利用を拒絶していたが,それ以上に確認する措置がなかった」と指摘し,これに対し,長野県のゴルフ場は会員に「暴力団関係者は同伴しない」等の誓約書を提出させていた点が重視されました。
 また,暴力団員であることを隠しての口座開設について,最高裁は平成26年4月7日決定で,当該銀行の規定及び申込書に「私は反社会的勢力ではないことを表明・確約して申込みます」と記載があることを根拠に,詐欺罪に当たるとしました。

*マンション管理規約への暴排条項の導入

 暴力団抗争事件は,組事務所だけで発生するのではなく,組員個人の自宅周辺でも発生しています。そのため,管理規約に暴排条項を導入するマンションが増加しています。近時,警察は,暴力団員等であることを隠して入居した場合,積極的に詐欺罪で摘発しています。そのためには,管理規約と「誓約書」の存在が重要なのです。

弁護士 吉田眞佐子

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