いろいろな 「残業手当」 について
2021年4月8日
一日8時間、週40時間を超えて働いた場合、労基法37条は、残業時間には25%の割り増し賃金を加算しなければならないと定めています(残業代)。
残業代の支払に代えて、「残業手当」等が支払われている会社もありますが、上記で計算した残業代の方が多くなる場合は、差額分の支払いが必要です。
令和2年3月30日最高裁判決(国際自動車事件)は、あるタクシー会社が、残業代を「残業手当」として支払いながら、歩合給額を決めるのに「残業手当」と同じ額を差し引いていたケースについて、残業代を払ったことにならないとしました。そして、「残業手当」等が支払われている場合の適法性を以下のような方法で判断すべきだとしました。
「残業手当」等、残業代の支払い方は労働基準法で定める額を下回らない限り自由に決めてよいが、残業代の支払があったと言えるためには、通常の労働時間の賃金を基礎に計算した金額を下回ってはならない、その判断には、
- ①通常の労働時間の賃金にあたる部分と残業代にあたる賃金部分を判別できなければならず
- ②「残業手当」が時間外労働等に対する対価として支払われたものと言えなければならない
いろいろな「残業手当」がありますが、残業代支払いを免れるために使われてはなりません。
弁護士 井関佳法