「仮差押」について
2023年10月6日
債権者は、債務者が債権の支払いに応じてくれない場合、判決を得て強制執行することができます。しかし、裁判を行っている間に強制執行の対象となる債務者の財産が散逸して強制執行で債権回収ができなくなる場合があります。仮差押は、それを防ぐための制度です。
仮差押を行っていれば、たとえ債務者が当該財産を第三者に売り渡してしまっていても、判決が確定した段階で強制執行をすることができます。
仮差押は、債権があって仮差押を行うことが必要であればできますが、裁判所が仮差押命令を出す段階で、債権者は保証金を納めなければなりません。その額は、債権額の10~30%位で、請求権の確かさや仮差押の必要性の程度から決められます。
一方、仮差押をされた債務者は、「保全異議」という手続きで仮差押自体を争うこともできます。また、仮差押が本裁判を行うための制度であることから、債務者は、本裁判を起こすよう裁判所から債権者に「起訴命令」を出してもらうことができ、債権者が本裁判を起こさなければ仮差押は取り消されることとなります。
なお、仮差押している間は、請求権が時効で消えることはありません(時効の完成猶予)。
弁護士 井関佳法