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所有者不明土地・建物の管理制度

2024年1月11日
◆これまでの所有者不明土地・建物の管理制度

 これまで、所有者が不明の空き家などの土地・建物の管理・処分が必要な場合、利害関係人の申立により、家庭裁判所が所在不明人について不在者財産管理人、相続人の不存在の場合に相続財産管理人を選任し、その財産を管理する制度がありました。
 しかし、これらの制度では、土地・建物以外の財産の管理も要し、共有の土地・建物では不明共有者ごとに管理人を選任し、所有者を特定できないと制度利用ができませんでした。

◆創設された所有者不明土地・建物管理制度

 そこで、所有者またはその所在が不明の特定の土地・建物だけを管理する所有者不明土地・建物管理制度が創設され(民法第264条の2~8)、2023年4月1日に施行されました。利害関係人が地方裁判所に管理人の選任を申し立て、管理費用や管理人報酬に充てる予納金を納めると管理命令が出され、管理命令登記が設定されます。ただし、区分所有建物にはこの制度は適用されません(建物区分所有法第6条4項)。

◆所有者不明土地・建物管理人の権限と義務

 管理人は、管理対象の土地・建物、そこに存する動産、管理人が得た金銭の管理処分権を有し、これらに関する訴訟では管理人が訴訟当事者となります。管理人は、管理対象物について保存・利用・改良権限を有し、裁判所の許可を得て処分を行うこともできます。
 管理人は善良な管理者の注意をもって管理することを要し、複数の共有者の共有持分の管理人は、その全員に対して誠実公平義務を負います。

◆管理人の職務の終了

 売却などで管理すべき財産がなくなったときは管理命令が取消され、管理命令登記が抹消されます。

弁護士 杉山潔志

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