後継者への安定的な事業承継のために
Q
従業員約20名の会社を経営しており、何とかやっています。しかし私も60歳を過ぎ、会社を後継者にどのように引き継げばよいか考えなければと思い始めています。どんな方法があるか教えてください。
A
中小企業の経営者でも高齢化が進んでいます。中小企業の場合、創業者や社長が株式の過半数を持っていることが多く、株式も財産の一つですから、あなたが亡くなれば会社の株式も他の遺産と一緒に相続されることとなります。相続人間の話し合いがまとまらなければ、後継者にと思っている方が、安定的な会社経営に必要な株式を取得できず、経営の不安定化を招く恐れがあります。
親族を後継者とする場合には、株式を生前贈与する方法(贈与税に注意が必要)、遺言による方法(遺留分に注意が必要、議決権制限株式を活用して経営の安定化を図る手段あり)があります。
従業員等を後継者とする場合には、株式を買ってもらうことになりますが、株式買取資金を融資を利用して用意してもらう方法があります(例えば、日本政策金融公庫等)。親族にも従業員等にも後継者がいない場合は、他社に会社を譲渡して会社を存続させる方法があります(M&A)。いずれの場合も、まず株式価格を算定しなければなりません。貸借対照表を基礎にする純資産法と損益計算書を基礎にする収益還元法があり、通常、併用して算定します。そして買手探しが必要です。
いずれにしても事業承継のためには、経営者であるあなた自身が、動かなければなりません。必要があればご相談ください。
弁護士 井関佳法
(2012年11月)
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