京都南法律事務所

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交通事故

4.交通事故が労働災害(公務災害)に該当する場合

交通事故が業務上に発生した場合や通勤災害となる場合には、労災保険や災害補償基金から治療費や休業補償などが支給されます。その場合には、これら支給金と加害者または加害者の契約している任意保険が支払うべき損害金との調整が必要となります。
●労働災害(公務災害)・通勤災害と認定されるための要件
交通事故による負傷や障害が労働災害(公務災害)と認められるには、災害と業務との間に因果関係(業務起因性、業務遂行性)があることを要します。また、通勤災害と認められるには、住居と就業場所との合理的な経路及び方法での通勤であることを要します。
●労働災害(公務災害)・通勤災害と損害補償
労働災害や通勤災害の保険給付は、交通事故によって発生した損害について過失相殺されることはありませんが、損害のすべてを賠償するものではありません。たとえば、入通院や後遺障害についての慰謝料の給付はなく、休業補償給付は認定された給付基礎日額の6割とされています。他方、労働災害や通勤災害では、損害の目的ではなく社会復帰促進等の事業の一環としての特別支給金が支給されます。
また、死亡事故の場合に支給される遺族一時金や遺族特別一時金、遺族特別支給金は、相続の対象とならず、法律の規定に基づいて受給権者や受給割合が定められています。
交通事故で発生した損害のうち、損害賠償として支給されない給付金については、加害者に賠償請求できます。
●労働災害(公務災害)・通勤災害における給付項目の限定
交通事故で発生した給付の項目に限定されて支給されると解されています。そのため労災給付における損害填補はその項目に限定されます。
そのため、たとえば死亡事故によって相続人が相続によって取得した逸失利益は、遺族一時金の給付を受けた相続人についてのみ、その給付額が損害の填補があったものとして損益相殺の対象になります。また、給付された葬祭料の額が実際の葬祭支出を上回る場合でも、上回った金額が他の慰謝料や逸失利益と損益相殺されることはありません。
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